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外科

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外科部長 小窪正樹

略歴等:


昭和53年、自治医科大学卒業。卒業後は、旭川医科大学第1外科にて研修。市立稚内総合病院、留萌市立総合病院、旭川石田病院(現北彩都病院)、公立芽室病院(2011年~2019年:院長職)等に勤務。令和3年4月1日より清水赤十字病院に赴任し現在に至る。
自然大好き人間。十勝は北海道らしい広大な土地と太陽と美が存在しています。東京や札幌へのアクセスも良好で、住みやすいところです。野菜もとっても美味しく気に入ってます。

当科では下肢静脈瘤、四肢リンパ浮腫、透析シャント困難症、下肢閉塞性動脈硬化症などの末梢血管疾患に対する外科治療や下肢のむくみに対する検査、尋常性疣贅に対する冷凍凝固治療、そして通常の一般外科治療などをおこなっております。

特に下肢静脈瘤においては、筆者はこれまで1万例以上に対して根治手術を施行してきました。診断には通常おこなわれるドップラー、エコー、脈波検査、ABI検査のほか、全国に先駆けてMDCTを用いた非造影3DCTヴェノグラフィーを採用し、診断のみならず正確な手術戦略を決定する上でも有効活用しています。

静脈瘤の治療は、現在はレーザー焼灼術が主流となっていますが、筆者は、従来よりスタンダード治療と言われてきたストリッピング術に改良に改良を加え、より安全で根治性の高い手術を目指してきました。通常は1週間以上の入院を要したこのストリッピング手術を、「局所麻酔と静脈麻酔」を用いることにより、1997年に全国で初めて「日帰り手術」として報告させていただきました。その簡便性はレーザー手術に匹敵するものと言えます。その後も、傷跡の残らないStab Avulsion法による瘤切除術(2012.11)、根治性を確実にする「Avulsion Techniqueによる大伏在静脈高位結紮術(2015.11)」、接合部での結紮を容易にする「膝屈曲法による小伏在静脈高位結紮術(2020.1)」を報告し発展させてきました。これらにより日本静脈学会からは優秀論文賞を受賞するなど高い評価を得ることができました。当科のストリッピング手術は、根治性はもとより、美容的にも簡便性に於いても十分満足できる方法として確立されたものと自負しております。

一方、レーザー焼灼術は、2011年に保険適用となったのを機に急速に普及し話題となりました。しかし、初代の980nm半導体レーザーでは皮下出血や疼痛、再発、血栓症などが問題となっていました。その後、2014年5月に合併症の少ない1470nmレーザー焼灼術が保険収載されるようになり今日に至っております。この治療は、簡便、安全な手技であり、患者さんにとっては朗報に違いありませんが、一部施設にて,適応のない症例にも本来必要の無いレーザー治療を行おうとする「不適切治療」が増えています。そのため、2019年には日本静脈学会より「血管内焼灼術のガイドライン」が発刊されました。現在当科では、厳正に適応症例を選択し1470nmレーザーを用いて血管内焼灼術を施行しています。安心して受診して頂ければと思います。

末梢動脈疾患として、透析治療に必要なシャント手術を積極的におこなっています。近年、糖尿病性腎症が増えるにつれシャント困難症も増えつつありますが、肘窩部穿通枝や人工血管を用いた内シャントを行っています。

また、下肢リンパ浮腫に対してはリハビリや専門看護師と協同で複合的理学療法をおこなっています。原因不明の下肢のむくみで受診される方が多くなっていますが、InBody S20(生体電気インピーダンス法)を導入し定量的に浮腫の評価をおこない正確な診断に役立てています。

リンパ浮腫の治療
リンパ浮腫を治すために

リンパ浮腫は、リンパ輸送障がいの結果、組織内に水分や血漿蛋白が貯留し、びまん性に腫脹する病気です。その病態は複雑で不明な点が多く、それ故多くの患者さんが「これといった治療法はない、癌が治ったのだから我慢しましょう」などと説明を受け希望を失っています。

72歳、女性、子宮癌術後右下肢リンパ浮腫(写真):
特に治療法がないと言われ、諦めて10年間放置した。浮腫は著明に悪化し、皮膚は象の皮のように硬くなってしまったと受診された。

72歳 女性 リンパ浮腫

リンパ浮腫は決してどうしようもない病気ではありません。日常生活に支障を来さない程度には必ず改善できます。しかし、そのためには以下の4点を守っていただく必要があります。

1.スキンケア:患肢の外傷、熱傷、虫さされ、水虫、ひび割れに気を付け清潔を保つ

(患肢の清潔と感染の防止)もっとも重要なことです。リンパ浮腫肢は感染にとても弱いのです。一旦感染を併発しリンパ管炎(肢の熱感、発赤と高熱)を起こすと、その度に大切なリンパ管が閉塞して、浮腫は増悪します。毎日の入浴、または足浴はとても大切です。足の水虫(白癬症)には特に注意しましょう。水虫だなと感じたら直ぐに主治医と相談して適切な治療を受けましょう。万が一,浮腫肢が発赤して熱が出るなどのリンパ管炎症状がみられた場合は、まず安静を保ち、患肢を挙上して水枕などで冷やしてください。高熱が続く場合はすぐに病院を受診されることを勧めます。

2.リンパ誘導マッサージ

これは自分でできる、また自分でしなければならない最も大切な治療法です。このマッサージの基本は、浮腫のない正常な駆幹からマッサージを開始して順に浮腫の強い末梢へ及ぶことと、さらに、決して強くさすったりするのではなく、皮膚を小さくずらす感覚でリンパ液を誘導するということです。リンパ液の誘導経路やマッサージの方法など専門家の指導が必要です。最初は病院できちんと指導を受けましょう。マッサージにより皮膚は確実に柔らかくなっていきます。1回1時間を毎日1~2回おこないます。マッサージ後は、次に示す圧迫療法が重要です。

3.圧迫療法(伸縮度の低い弾性包帯または弾性ストッキング)

伸縮度の低い(伸び率の小さい)弾性包帯または弾性ストッキング※を用います。下肢静脈瘤用よりは強めの圧が必要です。ストッキングにより一旦減少した浮腫液の再貯留を抑えるため、24時間、夜間にも常に装着することが望ましいです(夜間用としてはエアボウェーブ弾性ストッキングがあります)。慣れるまで大変ですが、皮膚が柔らかくなってくると足が楽になってきます。不適切な弾性包帯や弾性ストッキングは、症状の悪化や炎症を起こすことがありますので、病院での診察を受けましょう。

※弾性ストッキング・弾性包帯の保険申請について

購入する弾性ストッキング・弾性包帯が決まれば、その商品に対する指示書を医師に記入してもらいましょう。その指示書と購入した際の領収書を持参して、国保は各市町村の窓口に、社会保険では社会保険事務所や各保険窓口に申請してください。材料費の7割が返還されます。1回5万円まで、年に2回までの申請が認められています。また、従来は二次性リンパ浮腫(子宮癌や乳癌など術後リンパ浮腫)に対してのみ,この指示書が有効でしたが、2020年4月より原発性リンパ浮腫に対しても保険申請が適用されることになりました。病院窓口でご相談下さい。

4.圧迫下の運動療法

圧迫下の運動療法は、筋肉収縮と弾性ストッキングによって、リンパ管が効率よく圧排され、リンパ液の排出や再吸収を促進させるという考えに基づいています(図)。また、運動をすることで、関節の可動域の維持、筋力・活動量を向上させることができ、生活の質を向上することができます。しかし、過度な運動は避けなければ為りません。過度な運動により動脈血流量が増えてしまいますと、結果としてリンパ流量が増えてしまい相対的にリンパ液の鬱滞を招いてしまうからです。ウォーキングのような適度な運動を心がけましょう。

その他、腹式呼吸を練習すると、腹腔内圧を高めることにより、腹部のリンパの流れ(胸管のポンプ作用)を促進させることができます。

5.薬物療法

2011年6月に厚生労働省委託事業である「がんのリハビリテーション研修委員会」より「現時点ではリンパ浮腫単独に対する効果的な薬剤はない」という答申が出されました。それまでエスベリベン(リンパ球を活性化し、浮腫肢内蛋白貯留を減少させる薬)、または紫苓湯(漢方薬)が処方されてきましたが、これらの薬物には明かなエビデンス(効果のデータ)がないということで現在はほとんど処方されなくなりました。エスベリベンは製造中止となっています。

しかし、高齢者で急激に浮腫が強くなった場合や両下肢の重症の浮腫では、利尿剤や紫苓湯を処方することがあります。また、リンパ管炎を併発した症例には抗生物質を、白癬を合併している症例では抗真菌剤を使用します。

皆さんいかがでしょうか? 上記の保存的療法を守り健康的な柔らかい足にしましょう。

内シャント困難症
近年、糖尿病性腎症による透析患者さんは増加の一途を辿っており、全患者の半数近くを占めるまでになってしまいました。透析には血管吻合を要する内シャント造設術が必須となるわけですが、糖尿病は基本的に血管が悪くなる病気です。そのためシャント手術の困難な症例が急速に増えてきました。私は、これまで末梢血管の手術に数多く携わってきた経験から、肘窩部穿通枝静脈や尺側皮静脈を用いた特殊な内シャントや、また、人工血管による内シャント手術を数多く手がけてきました(写真:肘窩部穿通枝による特殊な内シャント)。シャントトラブルでお困りの患者さんは是非一度ご相談下さい。

下肢閉塞性動脈硬化症
高齢化や糖尿病患者の増加に伴い、本疾患の患者数は着実に増加しています(写真:右足のチアノーゼと足趾の虚血性壊死)。そうして、以前は治療困難と思われた症例も、現在は血管拡張術やステント留置術、バイパス手術などなど治療法が多様化し、その成績は格段の進歩を遂げつつあります。これらの適切な治療を受けるには、適切な検査および診断が必須となります。当院では末梢血管外科分野において全国でも屈指の成績を誇る旭川医大と密に連携しつつ、患者さんに最も適した治療法を勧めています。

下肢のむくみ
1.むくみの検査法、InBody S20とは?

生体に微弱な電流を流してその抵抗値から,身体の体水分量,細胞外水分量,細胞内水分量,体脂肪量、筋肉量などを測定する装置です。この測定法は、生体電気インピーダンス法(BIA法:bioelectrical impedance)といい、組織の生物学的特性による電気伝導性の差異を利用して、身体構成を予測する方法です。電気伝導性は、水分が多いと増加し、脂肪量が多いと減少することになります。本装置は、微弱電流の周波数を変えて部位単位で測定するもので、高い精度と再現性が立証されています。

2.測定方法

5分間安静臥床後に、心電図と同じように、四肢に8点の電極を付けて測定します。数分で終了します。簡便性,非侵襲性,即時性に優れた装置といえます。ただし、体内に心臓ペースメーカーや人工関節などの金属が留置されている場合は測定できません。

3.主な特徴
  • 筋肉・栄養の評価
  • 部位別の肥満度
  • 適正体重の評価
  • 部位別浮腫値・水分量の測定
  • 透析患者のドライウェイトの設定
4.当院での主な使用目的
  • 下肢の浮腫に対する客観的評価、特に全身性浮腫か局所性浮腫かの鑑別に有用
  • 透析患者のドライウエイト設定の補助
  • 栄養状態(肥満、栄養不良など)の客観的評価など
5.放置してはいけない下肢のむくみ

足のむくみは多くの方が経験されていることと思いますが、ひどくなっても、どの診療科にかかって良いか分からないと放置するケースが多くみられます。しかし、下肢のむくみには予想もしない重大な病気が潜んでいることがあります。たとえば、近年増加しつつある深部静脈血栓症は、1週間以内に治療を始めた場合はほぼ完全寛解しますが、治療が遅れますと生死に関わったり、また危険な状態を脱しても、生涯、血栓後症候群に苦しむことになります(写真:深部静脈血栓症による左下肢浮腫とそのエコー所見)。下肢のむくみは、APG(空気容積脈波)、超音波検査、InBody検査、CTなどにより的確に診断することが必要となります。

6.今後の展望

むくみの原因は大きく分けて内科的疾患に基づく全身性浮腫と下肢に限局した局所性浮腫の二つに分けることが出来ます。これまで、これらむくみの鑑別は、患者さんの自覚症状や医師の経験に基づいて診断されることが多く、これといった検査法はほとんどありませんでした。しかし、当院ではInBody検査という浮腫を定量的に評価できる器械が導入されており、全身性浮腫か局所性浮腫かの鑑別が容易に出来ます。今までも、下肢血管によるむくみと思って来院された方が、実は腎臓が悪かった、貧血があった、心臓が悪かった、膠原病だったというケースを少なからず経験しています。下肢のむくみでお困りの方は受診してみて下さい。

尋常性疣贅(イボ)に対する冷凍凝固

尋常性疣贅(イボ)は高い有病率の割には決定的な治療法がなく、治療上の困難をもたらすことが多いようです。最も一般的な治療として、皮膚科では冷凍凝固術(写真)が行われているのですが、帯広市内まで出かけなければなりません。おまけに待ち時間も長く患者さんにとってみれば大変な負担となります。そこで当科では、冷凍凝固の器械を導入し、患者さん、特に学童期のお子様などが治療を受けやすいようイボ治療を開始しました(写真:冷凍凝固によりイボが治癒していく過程)。

一般外科疾患

その他、広く一般外科疾患を扱っています。お気軽にご相談下さい。